夜
よる、鈴虫の音などを聞きながら布団で寝転ぶといった光景はもうないのか。
網戸越しに入ってくる気持ちの良い夜風とともに眠りに就くことはもう出来ないのか。
母はそんな馬鹿げたことを言うなという嘲笑的な口調で出来ないという。
なんで生きづらい。というか生活しづらい。
とても悲しい。部屋に夏の暑さがこもり、溜まる。家族を危険にさらすな、なんてどうかしている。空き巣が平然と入る状況を当たり前としている方がどうかしていると思う。
それもこれもあなたのせいだ。空き巣しようとしているあなた。早く捕まって更生して社会のためになる事をしてください。そして、都会の冠がつかないこの町でくらい、夜風と虫音をききながら寝かしてください。そして、網戸で寝ると気持ちいいよ、なんて言っていた頃の母に戻してください。